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飛べませんが、六角堂に行きます。
スカイレンジャー関西
俺のパラグライダーは魔法のじゅうたん、鳥の様に高くも、遠くにも飛んで行ける。一枚の布と紐だけで作ったシンプルな所が俺のお気に入りなんだ。今はリックザックの中で一休みしているが、俺がパラグライダーを広げて斜面に立つ時は最強のパートナーに、そして鳥人間にも変身させる。では、最初に安全の確認からだ、準備はOK。次は10m先で揺れている吹流しに注目しよう。正面の風が頬に当った テイクオフのチャンスだ!脇を締めて前傾姿勢で走る。大きく円を描きながら頭上で一枚の布切れが翼に変わり、加速された翼は重力に逆らう様に俺を3次元の中に引きずっていく。バリオメーターの音が鳴る(ピーッピーッピーッ)と上昇風だ、右のブレイクコードを引くと相棒は俺を垂直に1秒間に5mで持ち上げる。360度旋回のエレバーターは葛城山も金剛山も小さくして、高度1500mの世界に入る。感動の瞬間だ。定員1名の特別席は素晴らしい。あれが関西空港か、向こうは大台山系と奈良盆地や大阪平野の風景がパノラマ写真のように回り続けている。時間無制限の人間カメラはもう止まらない気持ちだ。既に1時間は廻ってるが一体俺は何者何んだ、人は空を飛べないはずだが、確かに浮いている。そんな事よりも今の俺は確実に相棒にもハマってるみたいだ。パッセンジャーに過ぎないのに、どうやら高高度で思考力がオーバーぎみのようだ。そろそろ今日のフライトはこの位にして引き返そうまだ明日もある。心が通ったのか相棒は高度を下げる。ファイナルは近い既にランディングにはパラグライダーの花が咲いてた。
記 夢みる飛行少年
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